ぐるっとパスによる都内博物館めぐり


はじめに

2019年1月にぐるっとパスを購入して東京都内の博物館めぐりをしました.このチケットは2,200円で都内の様々な博物館や美術館,動物園等に入ることができますが,最初に使用した日から二ヶ月間のみ有効という制限があります.下の写真のように分厚くてボリュームがあるチケットです.このチケットで入れる全ての博物館を制覇したいと思いました.

2018年度版のぐるっとパスにより追加料金無しで入れる施設は78箇所ありますが,そのうち千葉市美術館と埼玉県立近代美術館は少し離れていて都内でもないということで今回は訪問を見送りました.ぐるっとパスの対象施設には神奈川県内の博物館等も4箇所含まれていますが,これらはみなとみらい地区に集中していて効率的にまわれるので行くことにしました.また,東京都美術館,国立映画アーカイブ,府中市美術館の3箇所については切符の有効期限内は閉館中で利用できませんでした.結局,残りの73箇所を全て訪れることにしました.

この切符を利用して多数の施設を訪れる際にネックになるのは交通手段だと思います.地下鉄やバスを利用した場合は訪れるのに不便なところもあり,また交通費も結構かかることになります.今回は交通手段として自転車を主に使いました.特にRENAULT PLATINUM LIGHT6を輪行で多用しました.通勤に日比谷線を使っているのでその定期券も利用しました.ぐるっとパスは交通系の切符とのセット販売も行われています.今回は,「メトロ&ぐるっとパス」という東京メトロの24時間券が2枚ついて2,870円のセットを購入しました.24時間券が一枚当たり335円となるので,片道170円以上で往復使えば元がとれます.さらに24時間券は「最初に使用してから24時間以内に改札に入るまで有効」な切符なので,前日使った切符をさらに翌日早めに出発して往路で使うことが可能です.ぐるっとパスを使った博物館めぐりでは,各施設をきちんと見ようとすると一日あたり5箇所程度まわるのが限界なので,いかに隣接した施設を効率的に訪れるかがコンプリート達成の鍵になります,

博物館めぐりの結果は下記のとおりとなりました:

確認するまでもなく十分にチケットの元はとれました(95%の割引に相当).博物館はたまに訪れますが,美術館は滅多に行かないのでよい機会になりました.1つだけ会社帰りに平日訪れた施設がありますが,それ以外は全て週末や祝日に訪れて,対象とした全ての施設を切符の有効期限内に訪れることができました.今回の博物館めぐりの目的は,「都内にある様々な博物館や美術館を訪れて見聞を広める」だけでなく「寒い時期は家に閉じこもっているので積極的に屋外に出かける」ことがありましたが,1~3月という季節はあまり博物館等も混んでいないので悪くない時期だったと思います.1日だけ雪の日があったので,その日は予定を変更して自転車を使わないで行ける施設だけをまわりましたが,他の日は幸い晴れました.

記録

訪問日 写真 施設名 滞在時間 メモ
01/13(日) 江東区中川船番所資料館 60 江戸時代の船運に関する資料の他に地域の歴史資料など見ごたえがある.
地下鉄博物館 90 子供が多いが,重要文化財の歴史的な車体の展示などもある.
葛西臨海水族園 120 広さはまずまずだがマグロやサメの水槽,ペンギンなど見ごたえはある.
夢の島熱帯植物館 60 それほど広くはない.熱帯の植物や食虫植物など見られる.
パナソニックセンター東京 リスーピア 60 子供向けの体験型科学学習ゾーンといった感じで広くはない.
(築地駅→家)

01/14(祝) (家→秋葉原駅)

科学技術館 120 基本的に子供向けの体験型科学学習施設だが,出資元企業の協力展示が多く,自転車の歴史的資料などは充実している.
東京国立近代美術館 120 それなりに見ごたえがある.明治頃の和洋どちらの作品もある.
東京国立近代美術館工芸館 45 茶器の棗の企画展示をしていた.建物がよいが展示は多くはない.
昭和館 60 戦中・戦後を中心に生活に関する資料などを展示.
印刷博物館 90 歴史的に重要だった本の展示など.比較的資料が多い.
(仲御徒町駅→家)

01/19(土) 一葉記念館 45 広くはないが,作家の生活や師弟のつながりなどが分かる.
石洞美術館 60 干支をテーマにした展示をしていた.スペインの陶器など珍しいがあまり広くはなく系統的な展示ではない.
アミューズミュージアム 60 東北地方の「ボロ」を展示.実際に触ったりもできるがややテーマが特殊.
たばこと塩の博物館 90 塩とタバコでそれぞれに1フロアずつあり見ごたえがある.世界の塩にまつわる遺跡や様々なパイプの展示など資料も多い.
刀剣博物館 60 それほど広くはなく,太刀と小太刀が展示されているが展示解説は初心者向けではない.
すみだ北斎美術館 60 それほど広くはないが様々な作品を知れる.タッチスクリーンが操作しづらい.
東京都江戸東京博物館 120 かなり見ごたえがある.模型や複製の展示も多いが重さを体験できるコーナーなど工夫がある.
01/20(日) (家→分倍河原駅)

府中市郷土の森博物館 150 かなり見ごたえがある.時代別に府中地方の歴史が分かり,伝統的な祭りの紹介もある.野外にも移築した歴史的な建物がある.
(分倍河原駅→多摩動物公園駅)

多摩動物公園 300 一部工事中だったが敷地が広く十分に見ごたえがある.
(多摩動物公園駅→京王八王子駅)

八王子市夢美術館 60 伊万里の企画展示.展示解説は詳しくはない.
(京王八王子駅→家)

01/26(土) (家→荻窪駅)

ちひろ美術館・東京 45 独特の幻想的な絵だが,他の作家の作品も混ざっており見ごたえはそれほどはない.
(上石神井駅→小平駅)

小平市平櫛田中彫刻美術館 60 なかなか見ごたえがある.
江戸東京たてもの園 120 工事中で見れない建物があったが,外見だけではなく店舗の内部等も再現されていてよい.明治以降の建物がメイン.
多摩六都科学館 120 5つの展示室があるが子供向けでそれほど見ごたえはない.
武蔵野市立吉祥寺美術館 60 3つの展示室がありうち2つは常設.銅版画と抽象的な絵などであまりよく分からない.
三鷹市美術ギャラリー 60 タータンの企画展示をやっていておもしろかった.常設展示はない.
(荻窪駅→家)

01/27(日) (家→中目黒駅)

郷さくら美術館 30 それほど見所は多くはないか.
東京都写真美術館 60 建築写真の企画展示.人物が写っていないためか時代があまり分からなかった.
東京都庭園美術館 60 コラージュの企画展示.いまいちよく分からない.
松岡美術館 60 とても良かった.エジプトやインドの美術品など珍しいものを見られる.
(六本木駅→家)

01/30(水) (家→六本木駅)

渋谷区立松濤美術館 60 廃墟の絵の企画展示.書き込みの細かい絵など色々あるがテーマによる統一性が分かりにくい.
(渋谷駅→家)

02/02(土) (家→六本木駅)

戸栗美術館 60 伊万里の展示数が結構多いが興味がないと少し退屈か.
古賀政男音楽博物館 30 この作曲家がどのような人物かいまいち分からず退屈.
文化学園服飾博物館 60 近代の着物の企画展示.エジプト柄等の珍しい着物もあったが,幅広い時代や資料を網羅しているわけではなかった.
NTTインターコミュニケーション・センター 30 インディーズゲームの展示などで退屈.
東京オペラシティ アートギャラリー 60 冒険家による写真の企画展示で結構よい.収蔵作品の版画などはやや退屈.
(六本木駅→家)

02/03(日) (家→霞ヶ関駅)

新宿区立新宿歴史博物館 120 新宿の歴史を一通り網羅して悪くない.特別展は新宿御苑.
新宿区立漱石山房記念館 60 漱石の作品を詳しく知らなくてもうまくカテゴライズして簡潔にあらすじが説明されていて良かった.親交のあった人物のエピソードなども興味深い.
新宿区立林芙美子記念館 45 建物の外観が見られるが展示物はほとんど無い.
古代オリエント博物館 90 メソポタミア文明のものなど珍しいものが見られて結構よい.
東洋文庫ミュージアム 60 収蔵された本の展示など悪くなかったがこの文庫自体についてはあまり分からなかった.
(上野駅→家)

02/09(土) (家→仲御徒町駅)

旧岩崎邸庭園 45 とても広いわけではないが豪華な洋館や和館が見られる.
下町風俗資料館 60 昔の長屋の再現や昔のおもちゃなど,江戸から現代までの生活が分かる.
旧東京音楽学校奏楽堂 30 歴史的な建物を見るだけではなく資料の展示もある.ちょうどリハーサルをしていてパイプオルガンの音を聞くことができた.
恩賜上野動物園 180 雪が降っていたにも関わらずパンダは30分待ちであきらめた.餌を食べる白熊なども見れて見ごたえがある.
(上野駅→家)

02/10(日) 書道博物館 60 日本の書道などではなく中国の古い字の拓本や青銅器などが主な展示.
朝倉彫塑館 60 彫像家の住居兼アトリエで建物の中に作品があり良かった.猫の作品や迫力のあるブロンズ像など.
文京区立森鴎外記念館 60 鴎外の子供時代や学生時代など節目ごとの生い立ちが分かりやすかった.ただ作品の説明はあまりなく展示内容は濃くはない.
紙の博物館 60 紙の原料・作り方や特殊な紙の説明などがあり,実際に触れる紙も多い.
北区飛鳥山博物館 90 縄文・弥生・古墳から中世・江戸・現在まで北区のあたりの歴史が説明されていてしっかりした展示内容.
02/16(土) (家→荻窪駅)

井の頭自然文化園 120 それほど広くないがリスが間近で観察でき,彫刻館もあり見ごたえがある.
三鷹市山本有三記念館 60 建物自体は大正の洋館でよかった.展示はあまり印象に残らなかった.
調布市武者小路実篤記念館 60 参考となる資料があるが,作品や生い立ちなどやや分かりにくい.
神代植物公園 120 温室はランなどもあり見ごたえがある.野外は時期的にいまいちでバラの時期がよさそう.
世田谷文学館 30 あまり展示が無い.
(荻窪駅→家)

02/17(日) (家→荻窪駅)

世田谷美術館 45 アフリカ美術をやっていたがあまり印象に残らず.
静嘉堂文庫美術館 60 建物や場所の雰囲気が良い.雛人形の企画展示で内容は良かったが展示は多くない.
五島美術館 60 庭園が立派.茶器の企画展示でやや退屈.
(上野毛駅→祐天寺駅)

アクセサリーミュージアム 60 1920年頃から現代までの装飾品の展示で案外広くて凝った品もあるが,説明は系統的ではない.
目黒区美術館 45 コレクションにはおもしろい絵もあったがやや退屈.
(六本木駅→家)

02/23(土) (家→人形町駅)

江東区芭蕉記念館 30 芭蕉についてあまり深くは分からない.
江東区深川江戸資料館 60 江戸時代の建物がいくつも再現されていて内部にも入れて,かなり良い.
ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション 30 企画展の南桂子展は立体感が無く国籍の分からない独特の世界でなかなかだった.メゾチントの常設展示は少し退屈か.
三井記念美術館 90 雛人形の企画展.明治から昭和の近・現代が中心なので目新しさはあまり感じない.
相田みつを美術館 90 比較的広いがやや退屈.
(八丁堀駅→家)

03/02(土) (家→東銀座駅)

パナソニック 汐溜ミュージアム 60 小学校の建築の企画展.明治以降の資料で深い内容もないのであまり感動はない.
浜離宮恩賜庭園 60 鷹狩りの鴨場が残っているのが貴重で,梅と菜の花も見れた.周りがビルばかりなのはいまいち.
日本科学未来館 90 子供向けの展示でお金をかけているが科学技術館よりもいまいち.
(築地駅→家)

03/09(土) (家→町田駅)

町田市立国際版画美術館 60 常設展は浮世絵の百人一首でなかなかよく,企画展は長谷川潔の作品だった.
(町田駅→桜木町駅)

神奈川県立歴史博物館 90 さすが県立博物館で,建物自体が文化財であり,展示内容も複製もあるが数が多くて見ごたえが十分ある.
横浜みなと博物館 90 帆船日本丸は休館中だった.横浜港の成り立ちがよく分かり,船のシミュレーターなどもあり思ったより見ごたえがあった.
横浜美術館 45 現代美術などが多かったが印象に残っていない.横浜の明治期の窯の陶芸作品が見れたのがよかった.
そごう美術館 45 企画展で千住博展をしていた.テーマに対して適切な量の解説と作品がありうまくまとめられた展示でよかった.
(横浜駅→家)

番外編

「ぐるっとパス」で入れる博物館や美術館以外にも,ついでにいくつかの博物館に立ち寄りました.また2月24日は天皇在位30年記念ということで「ぐるっとパス」の対象外の公園等が入場無料だったため,予定を変更してそれらの施設を訪れました.

訪問日 写真 施設名 滞在時間 コメント
02/09(土) 国立近現代建築資料館 30 旧高等学校や大学の建築の企画展で設計図などを展示.
02/24(日) 旧古河庭園 30 あまり広くはない.建物内部は今回入れなかった.
六義園 60 比較的広い.
小石川後楽園 60 なかなか広くて見ごたえがあった.
新宿御苑 60 広くて洋館と温室がある.
国立科学博物館 60 展示資料が多く見ごたえがあり建物もよいが,時間がなくて十分に見られなかった.
03/02(土) 旧新橋停車場 30 建物は復元したものだが資料が展示してあり興味深い.
かちどき橋の資料館 30 小さい施設だが,実物の発電機や配電盤,動く橋の模型などがあって良かった.

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2019-04-03 ページ作成
T. Nakagawa